カラスとの間柄(1) [まいでぃあらいふ]
もう十年以上前のことだが、我が家のテレビアンテナに大きな漆黒のカラスが何時も留まってあたかも自分の城の上から見下ろすような傲慢な態度に見えた。私が帰宅すると挨拶がわりにギャーと2回ぐらい鳴くのであったが、まだ中高生の子供達にすれすれぶつかるように飛んだりからかっているような感じを受けたものだった。
ある日、アンテナがよじれてテレビが映りにくくなったのだが、カラスの仕業に違いない、日頃子供をからかうは生意気だと、比較的大きな石をぶつけてやった。アンテナに留まっているたびに石をぶつけてそれが何度か続いた。
ある日帰宅したときのこと、カラスの鳴き声がやけに分厚いのに気が付き空を見てびっくり!十羽ぐらいの大きなカラスが頭上で舞っているではないか。それも時々急降下して明らかに威嚇している。素振り用の木刀と長い鎌を倉庫から持ち出し、おりてきたカラスにぶんまわした。勿論当たりはしなかったが奴らは手強いと思ってか騒ぎながらも飛去っていった。
それからであるが、何処を歩いていてもジッと監視されているのに気が付いた。田んぼ道の電柱の上だとか、高い木の上とか奴らは見張っている。しかも私が家に近づくとギャーギャー泣き叫び、他のカラスたちに私の存在を伝える。そうすると数羽のバカでかい奴らがばさばさ飛び交い大騒ぎを起こす。こんな事が今でも続いているわけだ。驚くべき事に、カラスどもに代々伝えられているだけでなく、近隣の連中まで皆私を警戒する。この界隈のカラスは私を見ると皆大騒ぎするのだ・・・。
最近面白いことに気が付いた。車を降りて何時もいる木ノ上とかアンテナとかのカラスに向かい、サッと銃を構えるような身振りをすると大あわてで飛び立つのだ。これは面白い。道を歩いて電柱にいるやつにも試したが皆逃げ出す。ふーむ、奴らは銃で追い散らされた経験があるなと思った。田んぼに死んだカラスが吊されていることもあるぐらいだから。
続く