睡蓮 [ふらりひょん]
「睡蓮」の言葉はクロード・モネが晩年描いた連作を想起させる。
移ろいゆく陽光が作り出す色彩の揺らめきの中で、
まるで明かりを灯したかのようにポツポツと。
庭園の池に繁茂する初夏の睡蓮は、モネの目を通して彼の頭脳に入り込み、彼の心を揺さぶり、そして絵筆からほとばしり出た世界。
現実ではないのだ。
睡蓮の花を撮るときいつも私は思う。
あの世界はレンズを通して切り取ることは不可能だと。
画家が何日も何ヶ月も、いや、十数年間見つめ続けて彼の心に凝縮された世界。
写真は瞬間を切り取るから。
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